英語の克服に日本人は何百時間費やそうとしているか

 少し前まで目指した国は欧米であったが、貿易の発達とともに発展途上国からの人口流入と発展途上国へのカネの流出によって欧米は必ずしも豊かな国とは言えなくなり、若い人が目指すべき国も欧米にとどまらず中国や東南アジアと多様化していった。しかし相変わらずその中心的な言語は英語であり、その流れは止まりそうもない。

 

 日本もその流れとは無縁ではない。生産現場を海外移転する一方で貿易も芳しくない日本はいま観光立国を目指している。それには日本社会の国際化が必要であり、英語話せる人材とそうでない人材の二極化は避けられず、年収も徐々に差がつき始めている。だが、この語学を重視すればするほど科学立国の理想とはかけ離れていく。何百時間も必要とする語学の習得に全員が時間を費やせば、シリコンバレーのような経済のエンジンは生まれない。そこには日本の未来はないように思える。

 

 日本の教育が重点を置くべきものは英語教育ではなく、サイエンスやテクノロジーだと思う。