親戚の訃報

私が最後に彼に会ったのは30年以上前、まだ子供の頃であった。父親が美容室の経営に成功し、大船に一軒家を購入したため自宅を訪れたのだ。彼と何を話をしたのかは覚えていない。おぼろげな記憶ではあるが、幸せそうな団欒がそこにはあった。

 

40歳の彼がなぜ亡くなったのか、まだ詳細の話は聞いていない。会社で気分が悪くなり、早めに帰宅をした駅のホームで意識を失い、病院に運ばれたもののそのまま還らない人となった。彼には内縁の妻がいた。

 

40歳の死亡率は0.01%、1万人に一人の割合だという。同年齢の平均余命は42年を超えるのに、なぜ彼でなければいけなかったのか。年越しの訃報は近親者に大きな悲しみをもたらした。私は私で彼の家族が一番輝いていた時代を記憶で思い返して悲嘆に暮れている。