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毒を飲まねば毒の味がわからない

かつて、自分の毒を飲ませて相手の反応を見る女がいた。自分の本心が現れそうになるとわざと距離を置こうとしたり、相手に罵声をあびせようとする。男はそんな彼女を愛おしいと思ったが、やがて疲れ果て距離を置くようになった。

 

隠し持つかどうかは別として、人はたいてい毒を持っているものである。そうでないと自分らしさのようなものは持てないし、表現もできない。毒は活動の源泉であり、普段の自分とは異なる自分となって、今日の苦労や苦痛を明日に向けて乗り超えさせるものである。

 

だが、常に他人に毒をもって試そうとする行為からは破滅しか生まれない。毒を飲んだことがない人に毒の味はわからない。そうして男は、その女と距離を保っている時しか、その女を愛せなくなった。

 

そんな中世の物語を読んだ。悲しい話だが、そうなってしまったら、もう二度とその関係は戻らない。

 


Dionne Warwick " I'll Never Love This Way Again "