転居

慣れ親しんだ場所からある街に転居した。坂道をうまく利用した都市設計で成功をおさめたこの街には丘の一番高いところに駅があり、そこから見下ろすことのできる地域一帯に綺麗に区画された分譲住宅が続いている。建物に高さ制限があるために空が高く見え、整然とした街並みと青い空とのコントラストが美しく光る。
 
低気圧が去った後に訪れた高気圧のためか、今日は心地よいそよ風が吹いていて、日差しが強いながらも汗をかくことなく街中を散策することができた。帰りがけに屋外のカフェで買った本を読みながら、こうした落ち着いた環境こそ、マルチタスク型の仕事をこなさなければならない今の私に必要なのだと改めて思った。心を空っぽにするため、段ボールに詰まったまま半年間読まない本は処分することを決めた。今の自分に必要なものだけがあればいい。

今日、久しぶりに日常に浸れる時間を持つことができた。