人間臨終図巻

山田風太郎の代表作のひとつである「人間臨終図巻」を読んだ。既に過去の人となった偉人や有名人たちが享年毎に編集されていて、自分と同じ年齢でこの世を去った人たちの顔ぶれを真っ先に見た。

 

偉人図鑑でもあるので当然のことだが、私の年齢で彼らはすでに偉業を残しており、比較すると自分がいかに普通の人であるかをはっきりと認識することができた。これほど仕事で日々苦労しているのに後世に遺せる実績がないことには愕然としたが、同時に病をおして仕事に励もうとする偉人たちに到底敵わないと思った。治療しても治る保証のない時代に生きた彼らにとっては、人生を賭けた仕事を絶命前に完成させようとするのは当然であったに違いない。彼らは蝋燭のように自分の命を使い切った。

 

それと比較すれば、疲れた時には休み、仲間と愚痴を言い合う私の悩みなど取るに足らない。あと何年健康なまま生きられるかわからないが、自分の人生が永遠に続くことはないことを自覚して、するべきことをしておきたいと思う。