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高速バス内で

高速バスで後ろの席に座った中学生くらいの女の子のお子さんに障がいがあることはわかっていたが、まさかここまでとは。

彼女は席に座るなり、「ハイサイオジサン」を連呼し始めた。困ったのは隣に座る予定のお母さんで、子供を低い声で諭しては周りのひとに謝っている。

私は初めこそ「うすさいなぁ」と思っていたが、お母さんは毎日毎日このようなことで周囲に謝っているかと思うと心から同情をした。自分だったらその毎日は無間地獄だと思うに違いない。

次に娘さん本人のことを思った。お子さんも何かを伝えたいのかもしれないが、ハイサイオジサン以外に言葉を発せられないのかもしれない。現に少しずつトーンが違っている。

約一時間高速バスに乗る中で、私は彼女のハイサイオジサンを毎秒1回、合計で3,600回くらいは聞いたと思う。お母さんは周りの方にすみませんと謝った。ある年配の女性が、気にしなくてもいいのよ、と言った。私は少し救われた気がした。