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すれ違い

この夏に知人の女性が離婚し、冬に友人と結婚することになった。知人の女性は才色兼備で通っていたが、別れた夫は優秀でも冷淡な男であったようだ。ある日彼女は先々を憂いて離婚を決意して切り出すと、夫はわかったと言って寝室にこもり、翌朝には離婚届に印鑑が押されてテーブルの上にあったという。


後から考えれば彼女が仕事に没頭し始めたのがその頃だった。彼女はもともと英語が堪能な上に研究熱心であったが、そこには時として誰も寄せ付けない覇気が伴った。しかし仕事に急げば仲間を失うこともある。もとより身の上話を避けたい彼女が次第に一人ぼっちになるの自然であった。


友人の男の方は海外の優秀な学校を出ていたが、出世を逃してただの中年になっていた。彼はいつも笑顔で温厚であったが仕事に対する情熱は薄れ、もはや人生は下り坂のように見えた。その彼が突然彼女と結婚することになった。あまりの突然さに周囲は彼女が安売りしたかのように囃し立てた。


しかし私は知っている。彼がその昔彼女と付き合っていたことを。そして些細な喧嘩から疎遠になり、その後彼女が結婚したことを知った時に心が折れてしまったことを。私は酔った勢いで彼の家で日記を読んでその心の内を知ってしまった。


彼と彼女の幸せをいまは静かに祝福したい。